2018年11月26日
日記から見た伊東静雄(6) 小高根二郎
集った十人の中で特に日記によく名が出るのは宮垣信海(大阪市立大学医学部助教授)、吉村弘(大永紙工業株式会社取締役)、神堀忍(帝塚山学院短期大学助教授)の三氏で、本人或いは親がよく伊東家を訪問し、次のような物品を贈与しているのである。
*葡萄酒 *米 *債券十五円 *菓子、うなぎ *羊かん、煙草、帽子、玩具 *魚
*海苔 *あま鯛、あめ *おはぎ *牛肉 *すし、あわび *牛肉、いちご
*りんご *びん詰 *玩具 *蜜柑 *鯛 *おはぎ *カボチャ二個、卵十個、絹布
伊東が精細に日記に書きとめているのは、別に卵一ケ、おはぎ一ケにつき試験の点を一点ずつ加算するための用意ではあるまい。なぜなら三氏の現職が示すように、ともに試験成績に加算を必要とするできの悪い生徒ではなく、むしろできの良いグループに属していたと想像されるからである。