2018年12月19日
フランスの拝情詩人たち(4)ローベルト・ワルザァ 板倉靹音訳
青年ランボーはヴェルレーヌを驚嘆した。しかし彼はそれを白状するのを好まなかったがゆえに、ヴェルレーヌを嘲笑し、そのうえさらに、簡単に言ってしまえば、彼をぶんなぐっているのである。旅で彼はサハラ沙漠に行きついたが、そのとき彼の表情には青銅のような堅さがあらわれたと思われる。つらつらランボーの人品をながめれば、ぼくたちは彼を非常な大物と考えていると正直に言いたくなる。この不作法な、けれども極度に精力的な男にぼくたちはフランスの興隆が人格化されていちのを見る。
ランボーは祈ることができなかった。祈りはヴェルレーヌによって十分なされていたからである。ヴェルレーヌが既にたいそうお行儀よく、愛らしく贖罪を行っており、総じて彼はひどく善良な、心遣いのゆきとどいた男であったので、ランボーにアフリカ理念が萌したのである。