2019年1月24日
老い わがめぐり・より 歌集 大き画布 西川敏子より
屈託なき老い一人ゐて通院の待合室は冬を忘るる
核家族老人ホームも現世の姥捨てならむ老いを怖るる
夏の陽に晒す腕の薄きしみ向老期に入る捺印のごとく
老いゆくを諾なひがたく身を反らし歩めど早き秋の落日
梗塞の癒えざる手もて書かれたる老いの賀状に涙にじみ来
夏の陽の翳りりし夕べを日々歩む長き老後が待つやも知れず
高齢化も人事ならず書店には「老い」をテーマの本が積まるる
舞ひ落つるいてふもみじ葉はれやかにわれも美しく老いむと願ふ