2019年3月8日
風祭り まつり 歌集 大き画布 西川敏子より
魔風払ひ豊作祈る風祭り忍び供物は生贄雀
威勢よき木遣音頭で山車を曳く祭若衆は年毎に減る
郷土玩具は鐘馗面能 風車 露店に春の霞がかかる
ほの甘き恋に似しかな横笛の祭難子をせつなくきけり
紅雨とも火の粉をあびて若衆は手筒花火を抱きて勇む
風祭り花火の祭りおもふときふるさとは俄に近づくごとし
御輿もむ紺の股引のびやかに濃ゆき血滾つ春の陽の中
禍禍しき過去のいたみが甦る潔斎は祭礼のきびしき掟
禊する若者の顔戦場へ往きし学徒の貌と重なる
歩幅小さく祭りの雑踏ぬけて来て献燈の灯を消せば朧夜
あざやかに夜空に開き酔はしめて花火の骸連華田に舞ふ