2019年3月12日
近代化 世相 歌集 大き画布 西川敏子より
廃船をみるみる壊しゆくユンボ海の男の思ひは如何に
はるか古代黒潮に乗りて渡りきし安曇族なる末喬か君ら
漁業より農へと変りゆく村の山は削られ建ちならぶハウス
ゲートボールに興ずる農家の隠居たち
メロンハウスの管理はコンピューター
疾走する巨大農業そのかみの海の神々顕たす夕映
ブルドーザーが山崩しゆく危ふさの世にあり夕べ寒鰤を焼く
川砂は水したゝらせ真昼間の無蓋の貨車に積まれて通る
人ひとり事故死の悲劇過去として砂利掬ひゐるこのショベルカー
秋晴れをMRJの初飛行気づけば近頃見ぬあきあかね