2019年4月1日
豊川海軍工廠跡 鎮魂(たましずめ) 歌集 大き画布 西川敏子より
いく度の春の巡りぞ屍臭絶へし工廠跡の桜のトンネル
とうもろこし鳥賊焼く匂ひ飽食の児らも魅了す夜桜の道
虚空掴む死屍転がりてゐし道にさくらに酔ひて人ら犇めく
雪洞の明り届かぬ梢の桜花星の微光に妖しく泛ぶ
花の宴 花の天蓋揺るがせて此処に彼処に聞ゆる軍歌
平和の像建てて笑まへる被曝跡万朶の桜咲きおもりたり
さくら花頻りと散れる道の辺にイエスに似たる老いが膝抱く
工廠跡工場となりて造られし新車両ローカル線をきらめきて過ぐ