2019年4月24日
未来の医療への回転扉(10) 後藤 眞
〈ラッダイト運動が起きるのか?〉
では、われわれつぶしの利かなくなった医師は、どうすればよいのでしょうか?
嘗て産業革命で、職を奪われた英国の労働者達のように、機械の打ち壊しをしたラッダイト運動を起こさないとしたら、いくつかのケースが予想されます。
1) これまで通りの旧弊な医療と基礎研究を継続しつつ、AIの教育を我慢強く継続する(有り難いことに、旧弊な医療システムに郷愁を覚える患者は居るはずですので、すこし先まで需要はあるはずです)。
2) 1%の我が儘放題な患者相手のsuper-precision medicineは、AIドクターの助けを借りつつ、我々は、その助手や看護士として、ちゃっかり儲けの多い、高額医療として存続できると思います。
3) 地球環境の激変により、これまでに見られなかった新しい病気が出現しますし、従来の病気も表現形を大きく変化させる可能性があり、AIドクター頼みにばかりではやっていけないので救われるかもしれません。
4) なんといっても、宇宙医学があります。しかし、残念ながら、これこそデータ採取が得意なAI医療の独壇場かもしれません。
5) さらに、火星人などの宇宙人の治療医学が必要になるかもしれません。しかし、たぶん、火星人の医学は、我hよりはるかに進んでいて、教えられることばかりかもしれません。
6) 未来の医療の主体は、傘の修繕や、馬車が、ほぼ消滅したように、病気になって不調になった病気の修繕業から、未病コンサル業に変わっていくと思います。従来型の病気のEBM診断と治療は、しっかり学習し続けるAIドクターに敵いようがありません1おそらく医師免許が与えられ、Da Vinciに続き、Hippocratesとか、Osler、華陀(かだ)、耆婆(ぎば)とか、扁鵲(へんじゃく)とか命名されるでしょう。