2019年7月22日
時間の密度(1) 杉浦明平
風呂を出てくると、たいてい女房か子供かがテレビを見ている。
「おや、またお笑い三人組か」とか、「また伊賀の影丸か、このあいだ、やったばかりじゃないか。再放送か」とか、つい、たずねてしまう。と、答はいつでも、「今日は火曜日ですよ」とか二週聞に一回だけだよ」とかとなるにきまっている。それなのに、何回でも、つい、「また、やっているのか」と口から出てしまうのである。つまり、きちんと一週間たっているのに、二三日前のことのような気がするのだ。たちまち、一週間も1ヵ月も流れてしまう。あれからもうそんなたくさんの時間が経過したのか、とおどろくことばかりである。じつに時間の流れが早く短くなった。