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2019年7月29日

時間の密度(6)終 杉浦明平

 少年のこの空間にたいする感覚は、時間にたいしても当てはまるのではなかろうか。少年の一分間一分間はじつに感情や感覚にいっぱいつまっている。あるいは現在という瞬間だけをたっぷり生きているといえるかもしれない。一時間はそのたっぷりつまった一分間の集りであり、一日はそういう空隙のない一時間の集積なのだ。しかも一日二四時間では不足するほど欲望や期待にもあふれている。したがって一月は長く、一年はうんと先にある。
これに反して、年をとるにつれて、肉体が老化し、感受性が弱く感覚のきめがあらくなるので、子供の感じるような些細な事象に無感覚無関心となり、時間における隙き間がだんだん大きくなる。一日、一月、一年を合計してみると、真に充実した時間はいくばくもない。どんな多忙な人間も、外部的に多忙なだけで、内からいっぱいにみちているということができないのである。それは、おそらく、印象の強さや記憶力とも無関係ではないだろうが、ともかく、あっというまに月日がすぎて、心細いくらいである。



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