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2019年8月26日

小宮豊隆先生(青春の回想の一部)(9) 津村秀夫

 おまけに、その頃の世の中はのんびりしていたから、水曜会にはきまってお茶やお菓子が豊富に出たし、紅茶も出た。そう云う席でも先生は手きびしく噛んで吐きすてるように学生を叱りつけたものだが、御機嫌のいい時はお若い時の下谷芸者との恋物語の話もされるし、吉原芸者の話もされた。実にのどかなものであったが、当時の先生はヨーロッパ留学から帰られてまだ三~四年の時分で、意気軒昂たるものがあった。
 非常に神経の鋭い人で、カミソワのようであったから、漱石先生もあんなにこわい人であったのかと、写真から想像したりした。
 小宮先生は学生の前でも平気でのろけられたし、漱石先生から叱られた話もずいぶんされたが、酒や女に縁のない漱石大人のことだから、小宮のおやじのようなわけには行くまい、などと我われ門人は漱石像について勝手な想像をしていた。
 しかし、私がある時、先生にそう云って質問すると、
「こわいなんて云う感じの全くない人だったな。東京の下町で育って、寄席や落語を愛したほどの夏目さんだからね。実に洒落のうまい人だったし、暖かくて、ちっともこわくはないさ。」と云われた。



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