2019年8月27日
小宮豊隆先生(青春の回想の一部)(10) 津村秀夫
私は入学後に、小宮先生を最初に訪ねた時は、京大の成瀬無極先生の紹介状を持参したが(成瀬先生を知ったのは亡父の友人の京大教授の紹介による)、その時初対面の私は一時闇も話しているうちに、先生の目前で立てピザをついて語り出したと云うのである。
入学後一年もたってから、先生は水曜会の皆の前でその話をされ、「この男は実に驚いたやつだよ」と笑いながら披露された。
私は赤面した。しかし、どう考えてみても立てヒザをしたおぼえはない。だが、仲間の先輩たちは「いや、津村のことだからやりかねませんよ」とひやかす。
「もっとも僕にもそんな経験があるんだ」
小宮先生は追想されて「夏目さんに初対面の日に、僕がアグラをかいてしゃべったと云うのだがね。自分はすっかり忘れていたが、夏目さんがほかの人に語ったと云うので思い出した。僕の名前は出さなかったが、とにかく「この頃の帝国大学の学生には怖るべきやつがいて、初対面の時にアグラをかく学生がいる」と語られたそうだ。その話をきいて、僕は冷汗をかいたが、たしかに夏目さんの前でアグラをかいたおぼえがあるんだ。」