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2019年8月29日

小宮豊隆先生(青春の回想の一部)(12) 津村秀夫

 仙台で想像していた漱石夫人と少しも変らなかったが、まさに女親分的な度量のゆったりした人で、その反対の極にいる美しい女性像が、「それから」の三千代であり、「明暗」の中の昔の恋人であると云い得るかも知れない。あるいは「門」のお米である。つまり漱石は小説の中では奥さんの反対の極にいるような女性ばかり描いた。
 なるほどこの婦人なら生意気盛りの森田草平や三重吉や豊隆でも、適当に扱うことができたろうと思われるような婦人で、こういう人なら命ぜられなくても、お弟子たちは犬馬の労を取ったろうと想像された。その頃はまだ三女の愛子さんの結婚される前で、老夫人と一緒に暮していられ、私もお目にかかったように記憶する。
 水曜会のわれわれ門人は、小宮先生がいつも「夏目さんが」とか「先生が」とか云われるので、その影響で、普通の学生のように漱石とは呼びずてにせず、やはり「夏目さん」と親しみを持って呼ぶのがならわしだった。小宮さんを通じて漱石門の文人学者や、木曜会の空気には一種特別の親近感を持つようになっていたが、私は特別明治時代と云うものに憧憬を抱いていたからいつも根ほり葉ほりと昔ばなしをきいた。



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