2019年11月1日
アルジェの夏(17)アルベール・カミユ 柏倉康夫訳
「覚書」
挿画として、バブ=エル=ウエドで耳にした喧嘩話を一語一語再録する。(話し手は、あのミュゼットのカガユウ〔作家オーギュスト・ロビネがミュゼットの筆名で書いた、アルジェリア人の主人公カガユウの冒険奇譚〕のように、いつも話すわけではない。それは驚くには当たらない。カガユウの言葉はときに文学の言葉、つまり、再構成されたものなのだ。「やくざ」の連中が常に隠語を話すとは限らない。彼らは隠語を使うが、それはまた別のことだ。アルジェっ子は特有の語彙と特別な文法を用いるが、それがフランス語に入れられることで、独特の味が生まれるのだ。)