2019年11月6日
砂漠(1) アルベール・カミユ 柏倉康夫訳
砂漠 ジャン・グルニエ(1)
生きること、それはむろん、表現するのとはやや逆のことだ。これについてのトスカナの巨匠たちの言を信ずるなら、それは三度、すなわち沈黙と、焔と、動かぬことのなかで証言される。
訳注
(1)ジャン・グルニエは小説家で哲学者。一九三十年から三八年までアルジェの高等中学校の教師だったときカミュと出会い、大きな影響をあたえた。二人の間には子弟の関係を超えた友情が育まれた。グルニエはもう一人の教え子のエドモン.シャルロに出版業の経営を勧め、シャルロはアルジェで「レ・ヴレ・リシェス(真の富)出版」を立ち上げた。カミュの『結婚』の初版はここから刊行された。