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2019年11月11日

砂漠(4) アルベール・カミユ 柏倉康夫訳

 霊魂の不滅、それが分別のある精神の関心事であるのは本当だが、彼らはその樹液を使い果たす前に、あたえられた唯一の真実、すなわち肉体を拒否する。なぜなら肉体は問題を課したりせず、少なくとも、肉体が提案する唯一の解決策を、彼らは知っているからだ。真実は必ず朽ち果てる。だから真実は、彼らが正視しようとしない、ほろ苦さと気高さをまとっている。分別のある精神は、肉体よりも詩を好む。詩が魂の問題だからだ。わたしが言葉遊びをしていると感じるかもしれない。だが、わたしは詩を真実より高度なものにしようと努めているだけだということは分かってくれるだろう。その詩とは、チマブエからフランチェスカにいたるイタリアの画家たちが、トスカナの風景のなかで培ったあの黒い焔であり、それはちょうど、大地に投げだされた人間の明晰な抗議のようなものだ。この大地の繁栄と光は、絶えず、存在しない一つの神ついて人間に語る。



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