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2019年12月19日

日々雑感 第十話 及部十寸保

第十話 「学校説明会」
 桜丘に勤務していた頃の話です。毎年、十月になりますと、入試の準備が始まります。
 今年度の試験日の最終確認、受験者数の予想、実入学者数の推定などをします。公立校との併願者が多い当時の状況では、実入学者数を割り出すことは大変難しいものでした。校内には入試委員会という組織があり、私も松井彊先生も、その委員でした。私は、予測するための、独自の計算方式を編み出しましたが、私のこの努力を評価してくださったのが、 唯一、松井先生だけでした。
 私が校長になって、初めての私学の合同説明会が、地元の青陵中学校でありました。私はこのときに大失敗をしました。 地元で初の説明会ということで、とても緊張していました。この青陵地区は、三菱レイョンという大会社があり、保護者の皆さんの教育熱が高く、県下でも教育(の要求が高いことで有名でした。私は、保護者の方向けの話を用意しました。 桜丘のPRをしようと考えたのですが、準備不足で、話が支離滅裂になってしまいました。焦るばかりで、時間だけが過ぎてしまいました。
 当時、松井先生のお子さんも青陵中学校に通われていたので、ご家族の方も参加してくださったそうですが、「期待はずれだった。」とおつしゃったそうです。先生からも、「校長、私のところでは、妻も娘も聞いていた。大事な地区なんだから、しっかりやってほしかった。」という手紙をもらいました。
 私は、この忠告を大変ありがたく思いました。いただいた手紙を長いこと机の引き出しの中に保管しました。その後は、 様々な挫折を乗り越えて、人一倍努力していけば、明るい未来が訪れるということを、実例をもとにして話しました。保護者の皆さんというよりは、生徒たちを元気づける話を主にしました。話の間に、笑い声もおこり、拍手ももらいました。 校長先生や進路担当の先生から、「ミニ講演会」だったと評価され、自分たちが生徒たちに話すべきことを代わりに話してくれてありがたいと感謝されました。それからは、学校説明会を開催するので、ぜひ来てほしいとお招きの言葉をいただくまでになりました。初年度は二十校だけだった説明会が、翌年は五十校に倍増したことを覚えています。
 反響は、先生方からだけではなく、生徒たちや、保護者の皆さんからも寄せられました。後になって、ギャラリー亜鳥絵の田中さんからも、説明会に出席したお子さんが、「公立高校の受験はやめて、あの校長のいる私学に行きたい。」と元気よくおつしゃったという話を聞きました。
 松井先生からの忠告のおかげで、私は失敗から学ぶことができました。忌悼ない意見を寄せてくれる友のいることを大変嬉しく思いました。

2019年5月2日 記す



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