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2020年1月10日

日々雑感 第二十一話 及部十寸保

第二十一話 「荒木秀明塾写真展」
 市内の東雲町のギャラリー亜鳥絵で、七月二十五日~二十八日、短期間だが、「『美姫(びき)二〇一九』魅力の瞬間」 と題して、秀明塾の写真展が開かれた。
 荒木秀明氏は、豊橋市八町の生まれ。栄一氏と和子さんの長男で、私の甥にあたる。和子さんや私の妻の実家と、私たち夫婦の住居は近かったため、本家の集まりがあるときには、甥っ子たちの遊び相手を私はよく引き受けた。ヒデ君もその一人だった。
 秀明氏は、八町小学校、豊城中学校に学び、豊丘高校を卒業後、明治大学の法学部に進学。しかし、転機は思いがけず訪れた。大学紛争で授業を受けられなくなってしまった彼は、東京で何か身につけようと考えた。彼は、子供の頃からカメラいじりが大好きだった。友達が遊びに来ると、一日中、カメラで遊んでいたらしい。 小学生の時、コンクールに入選したことを私は覚えている。真面目な彼は、有意義な生活を送ろうと考えて、写真専門学校に入学した。そこで、写真に関する知識や基本をしっかり修得した。彼は、寝るのも忘れるほど、写真の勉強に夢中になった。在学中から師についた。 彼は、先生の三脚・カメラ等の道具運びから始めた。「門前の小僧、習わぬ経を読む」の例えの如く、実際の撮影現場で勉強をした。写真家の傍らにいることで、写真とは何か、自然と学んだ。先生について、全国各地や海外に行くたび、彼は風景写真を撮影し、ネイチャーの技術を身に着けた。
 その後、彼は、アイドルを中心としたグラビア撮影の道に入ったが、技術を磨き上げた背景の自然の美しさが、モデルを引き立たせた。また、ジュニアを撮影する機会も多く、石田ひかりや西田ひかるが十代の頃、オレンジカードやテレフオンカードの仕事もしていた。彼は、カメラを通して、モデルの純粋さ、ひたむきさを表現するのが上手で、それが評価された。鈴木雅之や沢田知可子などのアーティスト本も有名である。百冊以上の写真集と百本以上のDVDを撮影した。
 現在、彼は、後進の指導の方に力を入れている。写真塾をひらいて、自分の技術を伝えているのである。また、彼が撮影したアイドルが、彼の写真で知名度を上げ、売れっ子になっていったように、頑張っている若いタレントを応援するための撮影会を開いている。今回は、東京・銀座で開いた写真塾展の作品を、地元の人にも見てもらおうと、企画したものである。彼の作品と、塾生の写真を展示した。
 ポートレートを中心とした写真展は、ギャラリー亜鳥絵では珍しいと思う。甥のギャラリーさがしの相談にのった私も、 実は、皆さんの評価が気になった。写真展が終了した後、私の周りで足を運んでくださった方に恐る恐る感想をお聞きしたところ、「作品が美しかった。」との声が多数寄せられた。「同じモデルさんなのに、撮影する場所、衣装、ポーズ、カメラマンによって、全く印象が違う。雰囲気が変わる。不思議だ。」といった声や、「モデルだけではなく、バックの風景がとても美しい。」という声、「透明感のある写真ばかりだった。」という声が私のもとに届き、私はとても嬉しかった。
 彼の努力を惜しまない指導の賜物だと思う。実際、私も彼の写真に心を動かされた。才能のある甥をもてたことを誇りに思う。写真にはいろいろな分野がある。甥がそうであったように、何がきっかけになるか、わからない。撮影したいと思ってくれる人がますます増えていくことを私は望んでいる。

2019年8月7日 記す



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