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2022年4月11日

歌集 無形の重さ 波濤双書 眞崇華 風木舎


■Part8■


密かにロック
ついに来し友の計報を静かなる心でそっと包みて受ける
友からの一行メールに隠されし文字なき言葉を探りてみたい
亡き友の形見となりしメールです消さないように密かにロツク
新しき手帳開きて真つ先に友の命日慎みて記す
何事もなかったかのように時間流る親しき友の計報の後も

変換スイッチ
グランドに一礼をして入り行く孫娘の背番号陽を照り返す
ロングヘアきりりと縛り孫娘少年野球に汗流しいる
消えてゆく時間を何に変えゆかん心に秘める変換スイッチ
時折に目を閉じて描く砂時計確かな時間が休まず流る
あたたかき春を待たずに逝きし友今年の桜見えていますか
日常の隙間にそっと亡き友が「元気ですか」と遊びに来るよ
亡き母の姿は無くも気配だけ確かにありし明け方の夢
あちこちで買い求めたる絵葉書を見ればその日の私が見える
障害を持ちし子供のいる友の丸き心はどこからくるや
天国に住処を変えし友宛の誕生日メール今年も送る
幸せの形いろいろあるものと見落とし易きしあわせ拾う

ものも言わずに
鷗たち先を急いで塒へと残照のなか群れながら行く
雑草は根こそぎ引かれゆくまでは懲りることなくしぶとく生きる
勢いて流れゆく川眺めつつ笹舟つくりし遠き日想う
蔓草は甘え上手に出会いたるものへ巻き付きぐんぐん延びる
時折に心の内に送りたい「頑張ってるね」とことばひそかに
亡き母の教えの言葉今もなお心底に生きわれを導く
明け方に見し夢の中亡き友が確かにいたよ、もの言わないで
秋風に萩の小花が揺れはじめ友の命日近付きてくる

生き方リズム
時として境界線を引きながら心の新芽を育ててゆかん
立ち位置で見える形は異なりて友らの会話を黙しつつ徳く
人前で何かをすること快感と思う人あり われは真逆者
もう少しのんびりしたらと言う友に生き方リズムの違いを感ず
孤独感を感じたことがないという友らの声に孤独感増す

静かに眠る
「ただいま」と言いつつ眺むるスリッパで外出中の家族がわかる
本棚の本はオシャベリ封じ込め読まれる日まで静かに眠る
主待つ蟬の脱け殻乾びゆき小さき化石のように居残る
空蟬をこわさぬように幼児が宝のように両掌で包む
人知れず生まれしことを告げるため抜け殻置きて蟬は発ちしか


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